つむぎ。「久留米絣(くるめかすり)を語りたい。」

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絣ってどうやってつくるのか?~手織り編~

この前は機械織りの久留米絣ができるまでをご紹介させていただ来ました!

今日は、手織りの久留米絣がどうできるのかをお伝えさせていただきます。

工程の流れはほぼ同じなのですが、内容が変わってきますので、

写真で違いを差し替えてお伝えしたいと思います!!

 

1.柄つくり(図案)

伝統の柄や作者の個性を生かしながら、絣にふさわしい図案を作成します。

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2.絵紙(えがみ)

図案に沿って、経糸(たていと)と、緯糸(よこいと)の配分数を計算し、記入したものが絵紙です。経糸だけでも柄・糸の種類によっては1100本近くの糸を使用します。

 

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3.下絵

生地は仕上がり時に縮みが生じるため、縮み分を考慮し、

絵紙を書き直します。例えば丸い水玉模様を作る際、縮むことを考えて、下絵では真ん丸ではなく、少し面長になります。

 

4.絵糸書

緯糸の柄になる部分をくくる(工程10)時に、目印となるように硬く糊付けした白い糸を絵台に張って、糸の下に下絵を置き、絣となる部分にスミを付けます。

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5.経はえ(たてはえ

必要な経糸を用意する工程です。通常750本~1120本の経糸を使用します。(一反分は幅38m・長さは12.9m)

 

6.緯はえ(ぬきはえ

経糸と同じように必要な緯糸を用意する工程です!

 

7.糸たき(精錬)

糸の不純物を取り除くため2~4時間ほど沸騰したお湯につけてます。

 

8.さらし(漂白)

美しい染め上がりのため(ムラにならないように・染料が均等に

入るように)糸を漂白します。

 

9.のりづけ

糸の乱れを防ぐため糸にのりをつけます。

 

10.括り(くくり) 経糸も、緯糸

染めたい所、染めたくない所と分けるために、染めたくないところに綿糸を機械でくくります。くくった部分が染色時に色がつかず解いた時、白く残り、織った時に柄になっていきます。

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11.本藍染

2週間~1か月かけて建てた藍の甕に木綿糸をつけて色を付けていきます。

 

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12.水洗い

染めたときついた不純物などを洗い流します

 

13.絣解き(かすりほどき)

括った綿糸を解きます。

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14.水洗い

もう一度水洗いをします。染めた色が際立ちます。

 

15.のりつけ、乾燥

織りの工程へ入る前、糸が乱れないように再びのりづけし

天日干しをします。

 

16.経割(柄合わせ)

経糸を柄になるように束ねていきます。

※(ずれないようにところどころ糸を縛って止める。)

 

17.割り込み・筬通し

絵紙で決めた糸数にならい無地糸とかすり糸を並べていきます。

 

18.経巻き(たてまき)

織機に経糸をセットするため巻き箱に巻きとります。

 

19.アゼかけ(綜こう通し)

巻き箱に巻き取ったものを上下に分かれた綜こうに通す。

 

20.機仕掛

経糸を一本一本繋いで機械にセットする。

 

21.緯割

図案の配分を考えて、緯糸を糸篠(いとししの)に合わせて割っていく。

 

22.枠上げ

割った緯糸を緯取枠(ぬきとりわく)に巻き取ります。

 

23.管巻(くだまき)・トング巻き

緯糸をトングに巻きとります。

 

24.織り

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 25.湯のし・乾燥

織り上がった布を防縮・色とめをかねて湯通し、乾燥させます。

工程途中につけたのりが取れ、綿の素材が優しく感じられるようになります。

 

 26.整反(せいたん)

傷などの有無を検査・確認していきます。 

 

 

まとめ

手織りの場合一反織るのに早くても半年はかかります。

 

絣ってどうやってつくるのか?~機械織り編~

皆さん久留米絣と耳にしたことがあっても、どうやって作られているか考えたことはありますか?

 

久留米絣って高いよね」「いいものっていうのは分かるんだけど‥」
という声を耳にしますが、今日は久留米絣ができるまでをご紹介させていただきます!

 

機械織りと、手織りでは工程はほぼ同じなのですが、内容が違いますので
今日は機械織りの方をお伝えさせていただきますね!!

 

久留米絣ができるまで~約30もの工程がある~

 1.柄つくり(図案)

柄のデザインを行う

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2.絵紙(えがみ)

デザインした柄を方眼紙のような図案専用の用紙に書き、経緯(たてよこ)糸の配分・配置を決めます。経糸だけでも柄・糸の種類によっては1100本近くの糸を使用します。

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3.下絵
生地は仕上がり時に縮みが生じるため、縮み分を考慮し、絵紙を書き直します。例えば丸い水玉模様を作る際、縮むことを考えて、下絵では真ん丸ではなく、少し面長になります。

 

4 .はえ(たてはえ

必要な経糸を用意する工程です。通常750本~1120本の経糸を使用します。(一反分は幅38m・長さは12.9m)

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5.緯はえ(ぬきはえ

経糸と同じように必要な緯糸を用意する工程です!

 

6.糸たき(精錬)

糸の不純物を取り除くため2~4時間ほど沸騰したお湯につけてます。

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7.さらし(漂白)

美しい染め上がりのため(ムラにならないように・染料が均等に入るように)糸を漂白します。

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8.のりづけ

糸の乱れを防ぐため糸にのりをつけます。

 

9.括り(くくり) 経糸も、緯糸

染めたい所、染めたくない所と分けるために、染めたくないところに綿糸を機械でくくります。くくった部分が染色時に色がつかず解いた時、白く残り、織った時に柄になっていきます。

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10.化学染色

糸に色を付けていきます。染め方はいろいろ。

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11.水洗い

染めたときついた不純物などを洗い流します。

 

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12.絣解き(かすりほどき)

括った綿糸を解きます。因みに下のくるくるした綿糸は括っていた綿糸です。昔は破棄されていましたが今はくるくるしたものを綺麗に伸ばし販売などされています。編み物をされる方に人気だそうです。くるくるした見た目もなんだかかわいいですね。

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13.水洗い

もう一度水洗いをします。染めた色が際立ちます。

 

14.のりつけ、乾燥

織りの工程へ入る前、糸が乱れないように再びのりづけし天日干しをします。

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15.経割(柄合わせ)

経糸を柄になるように束ねていきます。
※(ずれないようにところどころ糸を縛って止める。)

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16.割り込み・筬通し

絵紙で決めた糸数にならい無地糸とかすり糸を並べていきます。

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17.経巻き(たてまき)

織機に経糸をセットするため巻き箱に巻きとります。

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18.アゼかけ(綜こう通し)

巻き箱に巻き取ったものを上下に分かれた綜こうに通す。

 

19.機仕掛

経糸を一本一本繋いで機械にセットする。

 

20.緯割

図案の配分を考えて、緯糸を糸篠(いとししの)に合わせて割っていく。

 

21.枠上げ

割った緯糸を緯取枠(ぬきとりわく)に巻き取ります。

 

22.管巻(くだまき)・トング巻き

緯糸をトングに巻きとります。

機械にのせたとき左右に一生懸命動いているのがこのトングです!

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23.織り

1人に4台担当しています。数時間に一度機械の点検をし、またその日の天気や湿気具合によって、打ち込む力をけえなければいけません。

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24.湯のし・乾燥

織り上がった布を防縮・色とめをかねて湯通し、乾燥させます。

工程途中につけたのりが取れ、綿の素材が優しく感じられるようになります。

 

25.整反(せいたん)

傷などの有無を検査・確認していきます。 

 

 

まとめ

約30工程を約1か月半ほどかけ作られていきます。

織機織りといっても、技術や時間が多くかけられていることがわかりますね!!

久留米絣と浴衣の共通点

皆さんは夏に浴衣は着ますか?

 

私は着物が好きになったきっかけは浴衣でした!!
高校生時代、毎年夏になるとせっせと働いてためたお金で浴衣を買い、年に3,4個の花火に出かけていました(笑)

 

「あー夏だけではなくてもっと浴衣みたいに着物が着れたらいいのにな」

そんな風にも思っていたのですがある時、そんな私の思いを叶えてくれるものに出会ったんです!!それが久留米絣!!

 

 

久留米絣と浴衣の共通点

  • 綿素材
  • 家で洗濯ができる
  • 価格
  • カジュアル着物

 

浴衣は最近では薄手のポリエステルのものも目にしますが大半は綿素材です~。
新品のものだと糊付けがしてあるのでカサカサしていますがお洗濯することでどんどん柔らかくなっていきますよねー。

絹と違ってツルってしていなく、ふんわりとしているので自分で着つけるときも下に下がらず着やすいです。

 

そして浴衣もクリーニングに出す方が多いですが実は浴衣も久留米絣もお家の洗濯機でお洗濯できちゃいます!たたんでネットに入れて、ソフトモードです(笑)

 

そして価格帯も絹の着物に比べると浴衣よりな久留米絣

今では浴衣は安いものだと1,000円代でも見かけますが、そのような薄手で仕立ても中国製でざっとしているものはおいておいて、基本反物で売られている浴衣と久留米絣は価格帯が似ているのかなと。

反物の浴衣の価格は、約20,000円~位でしょうか?

無地の久留米絣の反物で行くと同じくらいかな。と思います。

そして最後に浴衣のようにプライベートで気軽に着やすいです。

花火や、お友達とのお出掛けなどに最適です。

 

 

 

まとめ

今日は浴衣と久留米絣を共通点を出してみました。

お手入れ、価格、TPOなど和服にしてはスタートしやすい浴衣との共通点を持ちながら

3シーズン着られるという浴衣とは違う、汎用性を持つ!

私が久留米絣大好きな理由です!!

日本三大絣について!

日本三大絣の中に久留米絣は入ってる!!すごいっ!!

今日は三大絣についてお伝えさせていただきますねー。

 

備後絣(びんごかすり)

広島県福山市新市~福山市芦田町

伊予絣(いよかすり)

愛媛県松山市

久留米絣(くるめがすり)

福岡県・久留米市

 

備後絣

広島県福山市芦田町で生まれた絣。

昔は、着物用の着巾も作られていましたが、今は広巾のみ作られていて洋服やデニムを主に生産しています。現在備後絣を織っている織屋さんは備後地区に2社のみということ。

 

伊予絣

愛媛県松山市で作られる絣です。1906年は年間生産量約247万反を記録していますが、現在工房は1件を残すのみとなり織り手も2人になってしまっています。

 

久留米絣

久留米絣の工房は約20軒あり、手織り・機械織りと生産が続いています。

機械織りでは洋服や、雑貨、に形を変え、手織りの技法は1957年に国の重要無形文化財に指定されています。

また1976年には経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されています。

 

 

まとめ

日本三大絣といいましても現在産業として成り立っているのは久留米絣だけなんですよね。

久留米絣の進化!!

他の絣産地が衰退するなかで、ほぼ久留米絣だけが地場の伝統産業として生き残っています。

なぜ、他の産地は衰退し、久留米絣だけ生き残れてきたのか?
私はその理由は、時代に合わせて形を変えてきたことにあると思います。
時代が流れる中、形を変え暮らしの中に幅広く溶け込まれてきました。

 

 

久留米絣の着物の反物からの進化

・洋服(もんぺ、スカート、ワンピース、スーツなど)

モンペや、スカートなど私も着物以外でもいくつか持っているのですが、なんといっても着心地が最高です!軽くて、通気性がよく、動きやすい。
「昔の人は農作業の時に履いていたんだよ」と話を聞きますが、納得です。
今は昔ながらの白と紺地の絣だけではなく、明るい色目やいろんな柄があるのでお出掛け着としても人気があります。

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・ 雑貨(ハンカチ、バック、ピアス、名刺入れ、日傘など)

私もこちらもいくつか持っています(笑)
私のお気に入りはハンカチ、日傘、ピアスです。
ハンカチは優しい肌触りで使うごとに癒されます。
そして声を大にしてお勧めしたいのは日傘。一般的な日傘だとビニール生地で風を通さずちょっと暑かったりすると思うのですが、久留米絣の日傘は風を通してくれて涼しいんです(感動)今この記事を書いている今日もとっても熱く‥日傘なしでは外になんて出れないんですが、久留米絣を使った日傘だと日を遮ってくれる+涼しい風を届けてくれて最高です!

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また最近はかわいいピアスなども出ています。藍染で染められた久留米絣の生地や糸を使われているものも多くあるのですがワンポイントになりとってもおしゃれなんです。

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まとめ

着物が衰退していってしまったとき、どうにかして久留米絣を守ろうと考えられた皆さんの思いで現在も身近に久留米絣があってくれているんですねー。

久留米絣の織元はどのくらいあるのか?

久留米絣は、現在は主に福岡県久留米市、福岡県八女郡広川町、福岡県筑後市に主に工房があります。

 

久留米絣エリア

1軒

八女郡広川町エリア

14軒

筑後市エリア

5軒

 

工房によって柄や色など個性があるので見比べることもとっても楽しいです~

 

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久留米絣はいくらなの?

久留米絣といってもいろんな価格がありますよね。
今日は久留米絣のお値段についてご紹介をさせていただけたらと思います。

 

 

久留米絣の価格はこう変わる!

織機織or手織り、または重要無形文化財の作品かで価格は大きく変わります。

・機械織り:約25,000円~70,000円

・手織り:約150,000円~

重要無形文化財:約600,000円~

 

久留米絣は大きく分けて2種類作られ方があります。

 ・機械織り:約25,000円~70,000円

1つは「機械織りで作られたもの」です。
お値段のことをお伝えしますと、機械織りのものはとってもリーズナブルになり
約25,000円~GETすることができます。

 

機械織りとはどういう品物なのか?

簡単にご説明させていただきますね。

  • くくり作業は機械で行う

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  • 染色は化学染料

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  • 織りは、自動織機を使っている

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 機械織りと聞くと次々と物が作られる大量生産できるとイメージしがちですが実はそうではなく、ほぼ人の手が入っているんです。
くくり作業では長年の職人の感覚を必要とし、染色は機械で染めるといっても3~4時間かけて染めていく。織機に糸(経糸約1,000本)をセットするのは人で行い、織っていくときも数時間に1度は機械の点検をしなければならないという。。

 

織りで使っている機械は約100年経っているものが多く、いまだにその機会を使うことから久留米絣特有の優しい風合いができると織元さんは話してくれるんです。

 機械織りといいましても侮れないですね~。

 

 

 

そしてもう一つは


・手織り:約150,000円~

手織りの久留米絣の作られ方の特徴は

  • 手括り

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  • 藍染(作家さんによっては草木染も用いる。)

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  • 手織り

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括りは麻の葉を水に蒸らして柔らかくしたものを使い、一つ一つ木綿糸にくくっていきます。藍染は、約2週間から1か月かけて経てた天然藍で何度も糸を付け染め、織りでは糸の柄を合わせながら一本一本織り合わせていきます。

織っていくのも一反約2週間程かかっているんです。

「手織りのものは高い!」と聞きますが、作られている工程、時間を知る納得ですね。

 

 

最後に、

重要無形文化財:約600,000円~

久留米絣は1957年に木綿では初めて、国の重要無形文化財として指定されています。厳しい条件を満たして作られる久留米絣は、非常に限られた数しか織られない、貴重なものです。

価格としては600,000円~といったところでしょうか。

 

 

まとめ

久留米絣といってもいろんな種類があり価格もそれぞれです。着物のスタートには機械織りの久留米絣がお勧めですし、着物が楽しくて仕方ない方には、是非天然藍、また絣の美しさで手織りのものも楽しんでいただきたいです!
ご自身の用途に合わせて使い分けられるといいですね!